ワイヤレスマイクの無線帯域とは
ワイヤレスマイクは音声を電波に乗せて送受信します。どの周波数帯を使うかによって、同時使用できる本数・干渉リスク・飛距離・障害物への強さが変わります。
| 帯域 | 周波数 | 方式 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| B帯 | 806〜810MHz | アナログ | 現行・最も安定した主力帯域 |
| UHF帯(ホワイトスペース) | 470〜714MHz | アナログ/デジタル | 現行・多チャンネル向け |
| 1.2GHz帯 | 1.2GHz | デジタル | 業務用 |
| 2.4GHz帯 | 2.4GHz | デジタル | 普及価格帯、Wi-Fi干渉注意 |
| 5.8GHz帯 | 5.8GHz | デジタル | 干渉少ないが障害物に弱い |
B帯(800MHz帯):現在も主力帯域
B帯(806〜810MHz付近)は、今もライブハウス・講演会・イベント現場でスタンダードとして使われている帯域です。2.4GHz帯に比べて電波が回り込みやすく安定しており、業務用ワイヤレスマイクの主力です。
現行品として販売されているB帯機材は問題なく使用できます。
「B帯が使えなくなる」の話は何だったか
過去に話題になったのはB帯そのものの廃止ではなく、旧スプリアス規格で認証された古い機材の問題です。
2005年以前の古い技術基準(旧スプリアス規格)で認証された機器は、電波の漏れ(スプリアス)が現行規格より大きく、他の無線への影響が懸念されます。これらは2022年11月30日までに使用を終了する予定でしたが、新型コロナウイルスの影響等により**「当面の間」使用を継続できる**よう期限が延長されています。
ただし、旧規格機器は「他の無線に邪魔をしない範囲で」という条件付きであり、将来的には使用できなくなる可能性があります。
手持ち機材の確認方法
機材の裏面・電池ボックス内にある技適番号で確認できます。
| 技適番号の形式 | 判定 |
|---|---|
| R + 3桁(例:R 003XXXXXX) | 新規格対応 ✅ 問題なく使用可 |
| 5〜6桁の旧番号 | 旧スプリアス規格 ⚠ 将来的に要買い替え |
UHF帯(470〜714MHz):多チャンネル向け
地上デジタル放送が使っていない周波数の空き(ホワイトスペース)を利用する帯域です。多チャンネルを同時使用する大規模イベントで活用されます。
注意: 使えるチャンネルは地域によって異なります。会場が変わるたびにスキャンして使用可能なチャンネルを確認するのが正しい運用です。
本番前の手順:
1. 受信機でチャンネルスキャンを実行
2. 空きチャンネル(電波が来ていないch)を確認
3. 使用するチャンネルを選択・送受信機をペアリング
多チャンネル運用時の注意
複数本を同時使用する場合、チャンネル同士の**相互変調歪(IMD)**に注意が必要です。単純に隣のチャンネルを選ぶだけでは干渉することがあります。
メーカーの専用ソフト(ShureのWireless Workbench、Audio-TechnicaのFrequency Coordinationソフト等)を使うと、干渉しないチャンネル組み合わせを自動計算できます。4本以上使う場合は活用を推奨します。
2.4GHz帯:普及価格帯のデジタルワイヤレス
コンシューマー向けの安価なデジタルワイヤレスマイクで広く使われる帯域です。
メリット:
- 世界共通の帯域なので海外製品も使いやすい
- 免許不要で使用できる
- 機材コストが安い
デメリット:
- Wi-Fi(802.11b/g/n)・Bluetoothと同帯域のため干渉リスクが高い
- 会場のWi-Fiが多い環境(大型会議室・ホテル宴会場等)では安定性が落ちる可能性がある
判断基準: 小規模の発表会・セミナー(会場Wi-Fiが少ない環境)では問題なく使えます。大型会場・複数ch運用にはB帯またはUHF帯を優先します。
5.8GHz帯
2.4GHz帯より空いていることが多く、比較的干渉が少ない帯域です。
メリット: 2.4GHz帯と比べてWi-Fiとの干渉が少ない
デメリット: 周波数が高いほど電波の直進性が強くなり、障害物に弱い。壁・人体・舞台袖など遮蔽物があると飛距離が落ちる
帯域選びのまとめ
| 用途 | 推奨帯域 |
|---|---|
| プロ・業務用(安定重視) | B帯(現行の主力) |
| 多チャンネル同時使用 | UHF帯(470〜714MHz) |
| 小規模・コスト重視 | 2.4GHz帯(環境次第) |
| 旧スプリアス規格の機材を持っている | 技適番号を確認し、将来的に買い替えを検討 |
ワイヤレスマイクの種類・運用についてはワイヤレスマイクの種類と運用も参照してください。