ワイヤレスマイクとは
電波を使って音声を無線で送受信するシステムです。送信機(トランスミッター)と受信機(レシーバー)がセットになっており、ケーブルなしで自由に動き回れます。
マイク(送信機内蔵 or 外付け)
↓ 電波(UHF帯)
受信機(ミキサーに接続)
↓ XLRまたはTRS
ミキサー
形状の種類
ハンドヘルド型
マイク本体に送信機が内蔵されたタイプ。登壇者・司会・ボーカルに使われます。有線マイクと同じ感覚で扱えます。
ラベリア型(ピンマイク)
服の襟元などに留める小型マイクと、ポケットに入れる送信機のセット。話者の動きが激しい場面・長時間の講演に向いています。指向性はオムニが多いです。
ヘッドセット型
頭に装着するタイプ。口元に固定されるため音量が安定しやすく、両手をフリーにしたい場面(プレゼン・進行など)に適しています。
使用周波数
日本では主に**UHF帯(470〜714MHz)**が使用されます。
電波法改正により、770〜806MHz帯はLTE(4G)に再編され、ワイヤレスマイクとして使用できません。一方、B帯(806〜810MHz)は現在も使用可能で、ライブ・講演会での主力帯域として広く使われています。古い機材(旧800MHz帯対応)を使い回す場合は周波数の確認が必須です。詳しくはワイヤレスマイクの無線帯域を参照してください。
選定のポイント:
- 「ホワイトスペース」対応のUHF機種を選ぶ
- 複数本同時使用する場合は、使用する周波数が互いに干渉しない組み合わせを確認する(メーカーの「グループ/チャンネル」設定を活用)
- 会場によってはテレビ放送と周波数が被る場合があるため、本番前に会場でのスキャンを推奨
運用上の注意点
バッテリー管理
ワイヤレス運用で最も多いトラブルは電池切れです。
- 本番前に必ず新品電池・満充電の状態にする
- 単3アルカリ電池は連続2〜4時間が目安(機種による)
- 充電式バッテリー搭載機は満充電でも長時間イベントでは予備が必要
- 本番中の受信機のバッテリー表示を定期的に確認する
電波干渉・混信
- 会場のWi-Fi・Bluetoothデバイスと帯域が被ることがある
- 複数のワイヤレスシステムを同時使用する場合、チャンネル間の干渉に注意
- 送信機・受信機間の距離は基本30〜50m以内(障害物があればさらに短く)
- 受信機のアンテナを送信機が見える方向に向ける
ミュートの確認
ワイヤレス送信機はミュートスイッチを持つものが多いです。本番前に送信機のミュートが解除されているか必ず確認します。「音が出ない」トラブルの多くはここです。
有線マイクとの比較
| ワイヤレス | 有線(XLR) | |
|---|---|---|
| 自由度 | 高い(動き回れる) | ケーブル長に制限 |
| 音質 | やや劣る場合がある | 安定 |
| トラブルリスク | 電波・バッテリー | ケーブル断線 |
| コスト | 高い | 安い |
| セッティング | 複雑(チャンネル設定等) | シンプル |
おすすめの用途
| 用途 | 推奨 |
|---|---|
| 登壇者が動き回る | ハンドヘルド or ラベリア |
| 長時間講演(固定位置) | 有線ダイナミックでも可 |
| 複数登壇者が同時に話す | ラベリア多ch運用 |
| 司会・進行 | ハンドヘルド or ヘッドセット |
代表機種:Audio-Technica ATW-1322(2ch受信機)、SHURE ULXD(業務用)
有線マイクの詳細は有線マイクの種類と使い分け、指向性についてはマイクの指向性:カーディオイド・オムニ・ガンの違い、周波数特性・EQ応用については音の周波数帯域:各帯域の特性とマイク・EQへの応用、無線帯域の詳細についてはワイヤレスマイクの無線帯域:B帯廃止とUHF・デジタル帯域の選び方を参照してください。