症状:フェーダーを上げても音が出ない・レベルメーターが反応しない

Roland VR-6HD にダイナミックマイクを繋いで、チャンネルフェーダーを上げても音が出ない。レベルメーターも色が変わらない——この状態で最初に確認すべきことが1つあります。

アナログゲイン(プリアンプゲイン)がデフォルトの 0 dB のままになっている

ここを上げない限り、フェーダーをどこに動かしても音は出ません。

VR-6HD のゲイン 2 段構造

VR-6HDの信号フロー:アナログゲインの位置

VR-6HD のアナログ入力チャンネル(CH1〜4 の XLR 入力)は、ゲインが 2 段構成になっています。

段階 種類 役割
第 1 段 アナログゲイン(プリアンプ) マイクの微弱な信号を A/D 変換できるレベルまで増幅する
第 2 段 デジタルゲイン(トリム) デジタル領域での微調整

ダイナミックマイク(SM58 等)が出力する信号は −50〜−60 dBu 程度と非常に微弱です。この信号をそのままデジタル領域に渡しても、A/D 変換後のデジタル値はほぼゼロになります。フェーダーはデジタル信号の音量を動かすものなので、デジタルに信号が届いていなければ意味をなしません。

アナログゲインは「信号をデジタル領域に存在させる」ための最初のステップです。

なぜレベルメーターが反応しないか

ゲイン0dBと50dBの比較

VR-6HD のレベルメーターはデジタル領域の信号レベルを表示しています。アナログゲインが 0 dB のままだと、A/D 変換後の信号もほぼゼロのため、メーターは無反応(または微かに色が変わる程度)になります。

「入力できていないように見える」という状態の大半は、アナログゲイン不足が原因です。

設定手順

1. マイクを接続する

XLR ケーブルでマイクを CH1〜4 の入力に接続します。

2. タッチパネルでチャンネル設定を開く

VR-6HD のタッチスクリーンで対象チャンネルを選択し、INPUT(またはチャンネル詳細)の設定画面を開きます。

3. アナログゲインを上げる

ANALOG GAIN を 50 dB 前後に設定します。

目安:

マイクの種類 アナログゲインの目安
ダイナミックマイク(SM58 等) 50〜55 dB
コンデンサーマイク 40〜50 dB 程度(出力が高いため少なめで良い場合が多い)

4. レベルメーターで確認する

マイクに向かって声を出して、レベルメーターが動くことを確認します。ピーク時に −18 dBFS 〜 −6 dBFS 程度に入るようアナログゲインを微調整します。

5. デジタルゲイン・フェーダーで仕上げる

アナログゲインで適切なレベルが出たら、デジタルゲイン(トリム)とフェーダーで最終的な音量バランスを整えます。

コンデンサーマイクの場合

コンデンサーマイクも、アナログゲインが 0 dB のままでは同様に音が出ません(または非常に小さい)。ダイナミックマイクより出力レベルが高いため必要なゲイン量は少なめになりますが、ゲインを上げる作業自体は同様に必要です。

なお、コンデンサーマイクにはファンタム電源(+48V) が必要です。VR-6HD のチャンネル設定でファンタム電源を ON にしてからゲインを調整してください。

ファンタム電源に関する注意事項:

  • ファンタム電源の ON/OFF は、フェーダーを下げた(またはミュートした)状態で行う
  • 電源を入れたままケーブルを抜き差しするとポップノイズが発生し、スピーカーを傷める可能性がある
  • ダイナミックマイクへのファンタム電源供給は通常問題ないが、念のため不要なチャンネルは OFF にしておく

まとめ:音が出ないときのチェックリスト

  • アナログゲインが 0 dB のままになっていないか(最初に確認)
  • ダイナミックマイクなら 50 dB 前後に設定しているか
  • コンデンサーマイクならファンタム電源が ON になっているか
  • レベルメーターがアナログゲインを上げると反応するか

フェーダーを動かす前に、アナログゲインの確認が最初のステップです。「フェーダーを上げても音が出ない」「メーターが反応しない」という状況に出くわしたら、まずここを見てください。


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