音声フォーマットの分類
音声フォーマットは大きく2種類に分かれます。
- 非圧縮: 音声データをそのまま保存。品質が最高だがファイルサイズが大きい
- 圧縮: 音声データを圧縮して保存。ファイルは小さくなるが品質が変わる
圧縮にはさらに「可逆圧縮」(元に戻せる)と「非可逆圧縮」(元に戻せない)があります。
主要な音声フォーマット
WAV(Waveform Audio File Format)
Windowsの標準非圧縮フォーマットです。
- 特徴: 高品質・広く対応・ファイルサイズが大きい
- ファイルサイズ: 約605MB/時間(44.1kHz/16bit/ステレオ)・約990MB/時間(48kHz/24bit/ステレオ)
- 用途: 収録マスター・プロの編集素材
イベント収録のマスターデータはWAVで保存します。 非圧縮なので後から品質が落ちることなく加工できます。
AIFF(Audio Interchange File Format)
AppleのWAV相当フォーマットです。
- 特徴: WAVと同等品質・Macとの親和性が高い
- 用途: Mac中心の制作環境でのマスター保存
機能的にはWAVとほぼ同じです。どちらを使うかは制作環境に合わせて選びます。
MP3(MPEG-1 Audio Layer III)
最も普及した非可逆圧縮フォーマットです。
- 特徴: 小容量・再生環境が広い・音質は劣化(不可逆)
- ビットレート: 128kbps〜320kbps(高いほど高品質)
- ファイルサイズ: 約57MB/時間(128kbps)・約144MB/時間(320kbps)
- 用途: Web配布・ポッドキャスト配信・BGM素材の配布
収録マスターにはMP3を使いません。 MP3→MP3と変換するたびに音質が劣化します(世代劣化)。
AAC(Advanced Audio Coding)
MP3の後継規格で、同じビットレートならMP3より高音質です。
- 特徴: MP3より効率的・Apple製品との親和性高い
- ビットレート: 96kbps〜256kbps
- 用途: YouTube・iTunes配信・配信アーカイブ
YouTube・iPhoneとの相性が良く、Web公開用に書き出すならAACが現在の標準です。OBSの音声配信デフォルトもAACです。
FLAC(Free Lossless Audio Codec)
可逆圧縮フォーマットです。
- 特徴: WAVと同品質のまま約50〜60%まで圧縮可能・非可逆劣化なし
- ファイルサイズ: WAVの約50〜60%
- 用途: 高音質アーカイブ・配布用ハイレゾ音源
WAVと同品質でファイルサイズを小さくしたい場合に使います。ただし対応していない機器もあるため、汎用性ではWAVが上です。
フォーマット比較表
| フォーマット | 圧縮 | 品質 | ファイルサイズ | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| WAV | なし | 最高 | 大 | 収録マスター |
| AIFF | なし | 最高(WAV同等) | 大 | Mac収録マスター |
| FLAC | 可逆 | 最高(WAV同等) | 中 | 高品質アーカイブ |
| AAC | 非可逆 | 良(高ビットレート時) | 小 | Web・配信 |
| MP3 | 非可逆 | 良〜普通 | 小 | Web配布 |
用途別の推奨フォーマット
| 用途 | 推奨フォーマット |
|---|---|
| 現場収録マスター | WAV(48kHz/24bit) |
| YouTube公開用 | AAC(256kbps)またはそのままWAVを入稿 |
| ポッドキャスト配信 | MP3(192〜320kbps) |
| 高品質アーカイブ保管 | WAVまたはFLAC |
| 配信音声(OBS) | AAC(192kbps以上) |
変換の順序に注意
非可逆圧縮は「一方通行」です。
WAV → AAC (OK:変換後も実用的な品質)
AAC → WAV (NG:元の品質には戻らない)
MP3 → MP3 (NG:毎回劣化が積み重なる)
収録マスターをWAVで保存しておくことで、後からどんなフォーマットにも変換できます。最初からMP3・AACで収録すると、後で取り返しがつきません。
まとめ
収録はWAV(48kHz/24bit)で保存し、配布・公開の際に用途に合わせてMP3・AACに変換する流れが基本です。FLACは保管容量を節約したい場合の選択肢です。「高品質なマスターを持つ」ことが後工程の自由度を最大化します。