マイクの指向性:カーディオイド・オムニ・ガンマイクの違い
指向性とは マイクの「指向性」とは、どの方向から来た音をどれだけ拾うかを表す特性です。同じマイクでも、正面から話しかけるのと横から話しかけるのでは拾う音量が変わります。この特性を理解することで、ハウリングの防止・不要な環境音の除去・複数人収音の設計が適切にできます。 4つの指向性パターン カーディオイド(単一指向性) 正面の音を主に拾い、側面・背面は感度が落ちます。ハート型(cardioid=心臓の形)のパターンが名前の由来です。 特徴: 正面約120°が主な収音範囲 背面(180°方向)の感度が最も低い スピーカーを背面方向に置くことでハウリングを抑制できる 主な用途: ボーカル、スピーチ、ハンドヘルドマイク全般 代表機種:SHURE SM58、SM7B スーパーカーディオイド(超単一指向性) カーディオイドよりさらに狭い角度で収音します。ガンマイク(ショットガンマイク)はこの特性の発展型です。 特徴: 正面約90°程度が主な収音範囲(カーディオイドより狭い) 背面にわずかな収音ローブ(裏側の感度)が発生する 離れた音源をピンポイントで狙える 主な用途: 収録・実況・ガンマイク(MKH416等)、距離を保ちたい場面 注意: 背面にわずかな感度があるため、スピーカーの配置には注意が必要です。 オムニ(無指向性) 全方向から均等に音を拾います。 特徴: 360°どの方向も同じ感度 話者の向きに関係なく収音できる ハウリングが起きやすい(スピーカーの音も拾う) 主な用途: 会議用境界層マイク、天井吊りマイク、ラベリアマイク(ピンマイク)の多く フィギュア8(双方向性) 前後2方向から音を拾い、側面はほぼ無感度です。パターンが数字の「8」に見えることが名前の由来です。 特徴: 正面と背面が同感度 側面(90°・270°方向)は最も感度が低い 主な用途: 向かい合った2人の対談収録、特殊な収録セットアップ イベント・配信での選び方 場面 推奨指向性 理由 スピーチ・登壇者 カーディオイド ハウリングしにくく扱いやすい 離れた位置からの収音 スーパーカーディオイド ピンポイントで狙える 会議・円卓 オムニ(境界層マイク) 向きを気にせず全員を収音 ラベリアマイク(ピンマイク) オムニが多い 服に留めると向きが変わるため 対談(2人向かい合い) フィギュア8 1本で2方向をカバー ハウリングと指向性の関係 ハウリングはマイクがスピーカーの出力音を拾い、それが再びスピーカーから出て…というループで起きます。指向性の背面(感度の低い方向)にスピーカーを配置することでリスクを下げられます。 カーディオイドなら:スピーカーをマイクの真後ろ方向(180°)に置く スーパーカーディオイドなら:スピーカーを約125°〜130°方向に置く(真後ろに背面ローブがあるため) オムニはハウリングへの対策が難しいため、スピーカーと同じ空間で使う際は音量に注意が必要です。 有線マイクの種類については有線マイクの種類と使い分け、ワイヤレスマイクについてはワイヤレスマイクの種類と運用、周波数特性・EQ応用については音の周波数帯域:各帯域の特性とマイク・EQへの応用を参照してください。